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「『教育への権利』に関する特別報告官による声明」


すごいことを言っている声明です

古山 明男

 『教育への権利』(right to education )という言葉が、この声明文を貫いています。これは「教育を受ける権利」とはまったく違います。子どもが学校に通って授業を受けていても『教育への権利』が実現しているとはかぎりません。親の立場で、「子どもをなんとか学校についていかせなければ」と考えるような学校は、すでに、何かがおかしいのです。
 この声明文は、お仕着せの教育しかないのは、人権を侵していると言っています。子どもの尊厳を大事にすることを求めています。

 この声明は、国連関係者にあてたものなので、一般のわれわれには、どこが大事なのかすっとわかりません。そこで、重要な点をいくつかあげます。

1 [義務教育=国家による教育の提供]という図式を否定している。
国家主導の義務教育を『教育への権利』を実現する一つの要素にすぎないとして、いろいろな可能性への道を開いてきている。
2 人権が教育に及んでいなかったことを、はっきりと指摘。人権が教育に届くことを、これからの目標として大きく掲げている。
3 親が子供にどのような教育をうけさせるか決定する権利を、確認している。
4 この声明は、国連人権委員会による国際人権A規約の条文の公式の解釈に取り入れられている。
日本では、条約が国内法に上位し、裁判に直接適用できるため、この解釈は法制化や、裁判のときにも影響を与えうると考えられる。

 じっくり読んでいただけると、この声明文がどんなにすごいことを言っているか、どんなに役に立つものか、伝わると思います。
 正確さを損なわない範囲で、できるだけ平易な訳語、平易な文になるよう、伊藤さんとともに努めました。

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古山明男
akiofrym@sag.bekkoame.ne.jp
(2000.11.27)


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