「授業料や教材費などの代金と引き換えに」
ここは、原文では "provided against the payment of a fee"となっています。
たんに「代金と引き換えに与えられる」と訳せます。

予備報告の78.には、ほぼ同様の内容が,次のように書かれています。

78. ・・さらに極端な状況もありえます。初等教育が強制的なもので、代金を支払う事によって画 一的な国家経営の学校システムのもとで与えられ、そこから抜け出す自由を親が持ってい ないとしましょう。そのような場合には、教育は「フリー(無償、自由、束縛されない、などの 意味がある)」という言葉のもつ、さまざまな意味にあてはまらないものとなります。

ところで予備報告には、 授業料としてではなくても、教材費だの、設備維持費だのといった 名目でお金を取るのであれば、無償の教育といえない、とも書かれています。

また、国際人権A規約14条に関する人権委員会のコメントには、フリー(無償)の解釈と して、次のように書かれています。

7.政府、地方自治体、学校などから課せられる授業料その他直接的な費用は、 この権利の享受をさまたげ、この権利の実現を危うくする。・・・ その他の間接的な費用、たとえば親に対する強制的な徴税であるとか(しばしば自 発的なものと説明されるが、実際にはそうではない)、比較的高価な制服着用を 義務付けることなども、同じ領域に属する。義務的な初等教育の提供は、規約の 13章3項に規定された「公的に設置された学校以外の学校を選ぶ」親または親権者 の権利とはけっして対立しない。

このようなことを参考に、「授業料や教材費などの」という言葉を付け加えました。

伊藤美好 miyoshi@itoh.org