メインストリーミングという言葉は、この声明の中でたいへん重要な意味を持っています。

教育に人権をメインストリーミングするとは、「人権というものの見方が、教育に関するすべての政策に、 あらゆる水準で、あらゆる段階で組み込まれるように、教育のプロセスを(再)構築し、改善し、 発展させ、評価すること」を意味します。

「特別報告官による経過報告」(E/CN.4/2000/6 Right to education - Progress report of the Special Rapporteur) で、トマセウスキさん自身は、

"double mainstreaming (i.e. merging human rights and gender throughouteducation)"

「ダブルメインストリーミング(つまり、教育全体に人権とジェンダーをとけこませること)」

と書いています。

そこで「とけこませる」という訳にしてみました。 「軸に据える」「組み込む」「合流させる」「組み入れる」などという訳も検討中です。

メインストリーミングという言葉を理解するためには、

GENDER MAINSTREAMING
Conceptual framework, methodology and presentation of good practices
Final Report of Activities
of the Group of Specialists on Mainstreaming
(EG-S-MS (98) 2)
Strasbourg, May 1998
http://www.dhdirhr.coe.fr/equality/Eng/Final%20Report%20Mainstreaming.html

を参考にしました。これは、ヨーロッパ委員会内の、メインストリーミングに関する 専門家グループによる活動報告書です。

これによると、国際文書においてはじめてジェンダーのメインストリーミングという概念が 登場したのは、1985年にナイロビで開かれた、第3回国連女性会議だったということです。

1995年に北京で開かれた、第4回国連女性会議で採択された行動要綱では、ジェンダー のメインストリーミングがはっきりと謳われました。 この北京会議の準備中に、ヨーロッパ委員会 が、ジェンダー メインストリーミング の概念と 方法論を研究するために、専門家グループを作りました。

専門家達は、メインストリーミングの定義をめぐって、数多くの議論をかわしました。 すると、さまざまな使われ方をしていることがわかりました。 他言語に翻訳することがむずかしい言葉で あることもわかりました。

議論の末、専門家達は、ジェンダーメインストリーミングという語を、次のように 定義付けています。

[Gender mainstreaming is the (re)organisation, improvement, development and evaluation of policy processes, so that a gender equality perspective is incorporated in all policies at all levels and at all stages, by the actors normally involved in policy-making.]

「ジェンダー メインストリーミングとは、ジェンダーの平等という見方が、すべての政策に、あらゆる水準と あらゆる段階で組み込まれるように、政策プロセスを(再)構築し、改善し、発展させ、評価すること である」

伊藤美好 miyoshi@itoh.org